「話をすすめる」「本をすすめる」の「すすめる」は、同じ読み方でも漢字が違います。
結論からいうと、
物事を前へ動かす → 進める
人に何かをするよう働きかける → 勧める
と考えると、ほとんどの場面で判断できます。
「進める」と「勧める」の違い
まずは、違いを表で見ると分かりやすいです。
| 表記 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 進める | 物事を前へ動かす、先へ進行させる | 話を進める、計画を進める |
| 勧める | 人に行動や選択を促す | 本を勧める、受診を勧める |
ポイントは、「何を前へ動かしているのか」「誰かに何かを促しているのか」です。
具体例で見る「進める」と「勧める」の使い分け
「話をすすめる」は「進める」
「話をすすめる」は、話の内容や進行を先へ動かすという意味なので、「進める」を使います。
では、次の議題へ話を進めましょう。
詳しい条件を確認しながら、話を進めていく。
「会話を続ける」「交渉を先へ進める」といった意味でも「進める」です。
「計画・作業・手続きをすすめる」は「進める」
計画・準備・仕事・作業などを前へ動かす場合も「進める」です。
新しい計画を進める。
引っ越しの準備を進める。
作業を予定どおり進める。
手続きを進める。
どれも、何かを先の段階へ動かしています。
迷ったときは、「進行させる」に言い換えられるかを考えると判断しやすいでしょう。
「本をすすめる」は「勧める」
「本をすすめる」は、相手に「読んでみたら?」と働きかける意味なので、「勧める」を使います。
友人にこの本を勧めた。
初心者にはこの映画を勧めたい。
本や映画、商品などを相手に紹介して選択を促す場合は「勧める」です。
「受診・休養・参加をすすめる」は「勧める」
相手に何かをするよう促す場合も「勧める」です。
医師から検査を勧められた。
無理をせず休むよう勧めた。
早めの受診を勧める。
イベントへの参加を勧める。
ここでは、「検査する」「休む」「受診する」「参加する」といった行動を相手に促しています。
迷いやすい「すすめる」のケース
「食事をすすめる」は「勧める」
相手に「どうぞ食べてください」と料理を勧める場合は、「勧める」です。
客に料理を勧める。
もう一杯どうですかと酒を勧めた。
相手に飲食を促しているので、「進める」ではありません。
「席をすすめる」も「勧める」
「こちらへどうぞ」と相手に席を示し、座るよう促す場合も「勧める」です。
客に席を勧める。
物理的に席そのものを前へ動かしているわけではなく、「座ってください」と行動を促しているためです。
「勉強をすすめる」は文脈で変わる
「勉強をすすめる」は、文脈によって「進める」「勧める」の両方が考えられます。
試験に向けて勉強を進める。
なら、自分の勉強を先へ進行させる意味です。
一方、
子どもに毎日の勉強を勧める。
なら、相手に勉強するよう促す意味です。
同じ「勉強をすすめる」でも、進行なのか、働きかけなのかで漢字が変わります。
同じ文の中で「進める」と「勧める」を使うこともある
違いが分かりやすいのが、次のような文です。
担当者から、早めに手続きを進めるよう勧められた。
この文では、
手続きを先へ動かす → 進める
その行動を相手に促す → 勧める
となっています。
同じ「すすめる」でも、役割が違えば漢字も変わります。
「薦める」と書くこともある?
「おすすめの本」「この商品をすすめる」などでは、「薦める」という表記を見ることもあります。
「薦める」は、人や物をよいものとして選び、推薦する意味で使われる表記です。
ただし、日常的な文章では「勧める」で広く表せます。
この本を勧める。
でも自然です。
表記に迷う場合は、まず「進める」か「勧める」かを押さえておけば十分です。
迷ったときの見分け方
判断するときは、次の2点を確認します。
物事を先へ動かしているなら「進める」
- 話を進める
- 計画を進める
- 作業を進める
- 手続きを進める
「進行させる」に近い意味なら「進める」です。
人に行動や選択を促しているなら「勧める」
- 本を勧める
- 受診を勧める
- 参加を勧める
- 休養を勧める
「〜したほうがいいですよ」と相手に働きかけているなら「勧める」です。
まとめると「前へ動かすか、人に促すか」
「進める」と「勧める」で迷ったら、
前へ動かす → 進める
人に促す → 勧める
と覚えるのがシンプルです。
「話・計画・作業・手続き」は、先へ動かすので「進める」。
「本・受診・参加・休養」は、人に選択や行動を促すので「勧める」。
「すすめる」を見たときに、何が動いているのか、誰かに行動を促しているのかを見ると、漢字を選びやすくなります。
