「すすめる」は「進める」「勧める」どっち?意味・使い分けを例文で解説

6. 言葉の違い・使い分け

「計画をすすめる」「友人に旅行をすすめる」――同じ「すすめる」でも、漢字は同じではありません。

物事を前へ進行させるなら「進める」、人に何かをするよう促すなら「勧める」と考えると、ほとんどの場面で判断できます。

たとえば、「計画を進める」は計画そのものを前へ動かしているので「進める」。

「旅行を勧める」は相手に旅行するよう促しているので「勧める」です。

「進める」と「勧める」の違いを一言でいうと

表記中心となる意味判断のポイント例
進める物事を前へ動かす・進行させる何かが「先へ進む」か計画を進める、話を進める
勧める人に何かをするよう促す相手に「やってみて」と働きかけるか参加を勧める、休養を勧める

迷ったときは、「前へ進行させる」のか、「人に行動を促す」のかを見ます。

「すすめる」の後ろに来る言葉だけでなく、その文で何をしているのかを見るのがポイントです。

「進める」を使うのは、物事を先へ動かすとき

「進める」は、実際に前方へ動かす場合だけでなく、予定・作業・話などを次の段階へ進行させる場合にも使います。

たとえば、次の「すすめる」は「進める」が自然です。

  • 計画を進める
  • 話を進める
  • 準備を進める
  • 手続きを進める
  • 時計を5分進める

「旅行の準備を進める」なら、旅行を誰かに提案しているのではなく、準備という作業を先へ進行させています。

「では、次の議題に移りましょう。話を進めます」のような場合も同じです。

「勧める」を使うのは、人に「してみて」と促すとき

「勧める」は、相手にある行動をするよう促したり、何かを利用・飲食するよう働きかけたりするときに使います。

  • 友人に参加を勧める
  • 家族に早めの受診を勧める
  • 疲れている人に休養を勧める
  • 客にお茶を勧める

ここで中心になっているのは、物事の進行ではなく、相手への働きかけです。

「医師が患者に休養を勧めた」なら、「休養したほうがよい」と相手に促しているため「勧める」になります。

迷いやすい「すすめる」を具体例で判定

単語だけを見るより、実際の文章で比べると違いがはっきりします。

「仕事をすすめる」なら?

仕事を進行させる意味なら「仕事を進める」です。

例:午前中にできるだけ仕事を進めておこう。

仕事そのものを先へ動かしているため、「勧める」ではありません。

「話をすすめる」なら?

話し合いや会話を先へ進行させるなら、「話を進める」です。

例:全員がそろったので、本題へ話を進めた。

一方、「本人に家族と話すことをすすめた」なら、人に行動を促しているため、「家族と話すことを勧めた」となります。

「勉強をすすめる」なら?

ここは文脈によって漢字が変わります。

自分の勉強を先へ進めるなら「進める」です。

例:夏休みのうちに数学の勉強を進めておく。

誰かに勉強したほうがよいと促すなら「勧める」です。

例:先生は生徒に毎日の復習を勧めた。

「勉強だから進める」のように名詞だけで決めず、その勉強を前へ進行させているのか、誰かに勧めているのかを見る必要があります。

「手続きをすすめる」なら?

申請などの手続きを先へ進行させるので、通常は「手続きを進める」です。

例:必要な書類がそろったので、手続きを進めます。

ところが、こんな文なら両方の漢字が登場します。

担当者から、早めに手続きを進めるよう勧められた。

「手続き」は前へ進めるもの。それを「早くしたほうがよい」と人に促す行為は勧めるものです。

この一文を基準にすると、二つの違いを覚えやすくなります。

「本をすすめる」は「勧める」ではなく「薦める」こともある

「すすめる」には、もう一つ「薦める」という表記があります。

「薦める」は、人や物をよいものとして推薦する意味で使われます。

そのため、「友人にこの本を薦める」「候補者として彼を薦める」のような表現があります。

一方、「運動を勧める」「参加を勧める」のように、相手に何らかの行動をするよう促す場合は「勧める」がわかりやすい使い分けです。

この記事の「進める」と「勧める」で迷った場合は、まず進行なのか、相手への働きかけなのかを判断すれば十分です。

「本や商品をおすすめする」のようなケースでは、「薦める」も候補になると覚えておくとよいでしょう。

迷ったときは「何が前へ進むのか」を考える

「進める」と「勧める」は、次のように考えると判断しやすくなります。

  • 物事そのものが前へ進む → 進める
  • 人に「やってみて」と促す → 勧める

「計画を進める」「準備を進める」では、計画や準備が次の段階へ移ります。

「参加を勧める」「休養を勧める」では、相手にその行動をするよう働きかけています。

同じ名詞でも文脈によって変わる場合があるので、「○○にはこの漢字」と丸暗記するより、進行か、働きかけかで考えるほうが応用できます。

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