「赤ちゃんがかわいい。」
「この犬、かわいいね。」
「かわいい服を見つけた。」
「かわいい」は、今では人・動物・物・服・文字・仕草まで、非常に広く使われる言葉です。
しかし、昔から今と同じ意味だったわけではありません。
「かわいい」は、古語の
かわゆし(かはゆし)
にさかのぼります。
そして「かわゆし」は、もともと、
気恥ずかしい
気がひける
といった意味で使われていました。
そこから、
見るに忍びない
↓
気の毒だ・不憫だ
↓
愛らしい・かわいい
と意味が広がっていきます。
この記事では、「かわいい」の語源、古語「かわゆし」の意味、「かわいそう」との関係、「愛らしい」との違いまでわかりやすく解説します。
📖 「かわいい」とは?意味を簡単に
現在の「かわいい」には、いくつかの意味があります。
愛らしく、心をひかれる
もっとも一般的なのが、
愛らしく、好ましく感じる
という意味です。
- かわいい子ども
- かわいい犬
- かわいい笑顔
などと使います。
相手への愛情や好意を含むこともあります。
小さくて愛らしい
「かわいい雑貨」
「かわいい花」
のように、
小さく、愛らしい
見た目が好ましい
という意味にも使われます。
現代では、人だけでなく物にまで広く使われる言葉です。
🌿 「かわいい」の語源は「かわゆし」
「かわいい」は、
かわゆい
さらに古くは
かわゆし(かはゆし)
という形にさかのぼります。
「かわゆし」は「顔映ゆし」に由来するとされる
「かわゆし」は、
顔映ゆし
に由来すると考えられています。
「映ゆし」は、
まばゆい
照れくさい
まともに向き合いにくい
といった感覚に関係する言葉です。
古い「かわゆし」も、
気がひける
恥ずかしい
という意味で使われていました。
最初から「愛らしい」ではなかった
現在の「かわいい」からは想像しにくいですが、
古い「かわゆし」は、
かわいらしい
という意味だけの言葉ではありませんでした。
まず、
気恥ずかしい・気がひける
という意味があり、
そこから意味が変化していきました。
🔍 「かわゆし」はどう意味が変わった?
「かわいい」の歴史で重要なのが、この意味の変化です。
「気恥ずかしい」から「見るに忍びない」へ
「かわゆし」は、
相手をまともに見ていられないような、
気まずさ
気恥ずかしさ
を表しました。
そこから、
見ていられない
見るに忍びない
という意味へ広がります。
「見るに忍びない」から「気の毒」へ
「見ていられない」という感覚は、
かわいそうで見ていられない
という意味にもつながりました。
そのため、中世には、
気の毒だ
不憫だ
という意味で多く使われています。
「気の毒」から「愛らしい」へ
さらに中世後半になると、
子どもなどへの憐れみや情愛から、
愛らしい
かわいい
という現在につながる意味が生まれました。
近世以降は、この「愛らしい」という意味が強くなっていきます。
「かわいい」と「かわいそう」は関係ある?
あります。
現代では、
かわいい
と
かわいそう
はまったく違う言葉に見えます。
しかし、歴史的には深く関係しています。
どちらも「かわゆし」につながる
「かわゆし」には、
気の毒だ
不憫だ
という意味がありました。
この意味は、
「かわいそう」
という表現にもつながっています。
一方で、
「かわゆし」の別の意味である、
愛らしい
という方向が、
現在の「かわいい」
として定着しました。
つまり、
かわいい
と
かわいそう
は、現在は意味が離れていても、歴史をたどると近いところにつながっています。
💬 「かわいい」と「愛らしい」の違い
「かわいい」と「愛らしい」はよく似ています。
「かわいい」は使える範囲が広い
「かわいい」は、
- 人
- 動物
- 服
- 雑貨
- デザイン
- 声
- 仕草
など、非常に幅広く使えます。
「かわいい文字」
「かわいいバッグ」
のように、物にも自然に使えます。
「愛らしい」は愛情を感じさせるさま
「愛らしい」は、
かわいらしく、愛情を感じさせる
という意味です。
- 愛らしい笑顔
- 愛らしい子ども
- 愛らしい仕草
などと使います。
現代語では、
かわいい
→ 日常的で用途が非常に広い
愛らしい
→ 愛情を感じさせる様子をやや丁寧に表す
という違いがあります。
「かわいい」は「守りたい」という意味?
「かわいい」と感じる対象に、
守りたい
大切にしたい
という気持ちを抱くことはあります。
ただし、
「守りたい」が語源そのもの
というわけではありません。
古い「かわゆし」の意味変化は、
気恥ずかしい
↓
見るに忍びない
↓
気の毒・不憫
↓
愛らしい
という流れで説明されます。
現在の「守りたい」という感情は、「かわいい」という感情に伴うことがあるものとして考える方が自然です。
「かわいい」は見た目だけの言葉?
見た目だけではありません。
仕草や性格にも使える
- 笑い方がかわいい
- 一生懸命なところがかわいい
- 話し方がかわいい
など、外見以外にも使えます。
物にも使える
現代では、
- かわいい服
- かわいい文字
- かわいい部屋
- かわいい色
など、人や動物以外にも広く使われます。
そのため、「かわいい」は現在、
愛らしさや好ましさを幅広く表す言葉
になっています。
❓ 「かわいい」についてよくある質問
Q1. 「かわいい」の語源は?
古語「かわゆし(かはゆし)」にさかのぼり、「顔映ゆし」に由来すると考えられています。
Q2. 「かわゆし」とはどういう意味?
古くは「気がひける・恥ずかしい」という意味があり、その後「見るに忍びない」「気の毒だ」「愛らしい」へ意味が広がりました。
Q3. 昔の「かわいい」は「かわいそう」という意味だった?
「かわゆし」には「気の毒だ・不憫だ」という意味がありました。現在の「かわいい」と同じ意味だけではありません。
Q4. 「かわいい」と「かわいそう」は同じ語源?
歴史的には近い関係があります。古い「かわゆし」の「不憫だ」という意味が、「かわいそう」にもつながっています。
Q5. 「かわいい」は最初から「愛らしい」という意味?
いいえ。古くは「気恥ずかしい・気がひける」という意味でした。
Q6. 「かわゆし」はいつごろ使われていた?
『今昔物語集』には早い用例が確認されます。
Q7. 「かわいい」と「愛らしい」の違いは?
「かわいい」は非常に幅広く日常的に使われます。「愛らしい」は、愛情を感じさせるかわいらしさをやや丁寧に表す言葉です。
Q8. 「かわいい」の漢字は「可愛い」?
「可愛い」と書きますが、この表記は語源をそのまま表したものではありません。「かわいい」という語に後から漢字が当てられた表記です。
🌱 まとめ
「かわいい」は、
愛らしく、心をひかれる
ことを表す言葉です。
その歴史をたどると、
かわゆし(かはゆし)
に行き着きます。
ポイントをまとめると、
- 「かわいい」は「かわゆい」の変化した形
- さらに古くは「かわゆし(かはゆし)」
- 「顔映ゆし」が語源と考えられている
- 古くは「気がひける・恥ずかしい」という意味
- そこから「見るに忍びない」へ広がった
- 中世には「気の毒だ・不憫だ」の意味で多く使われた
- 中世後半から「愛らしい」という意味が生まれた
- 近世以降、現在の「かわいい」に近い意味が中心になった
- 「かわいい」と「かわいそう」は歴史的に関係がある
- 「守りたい」が直接の語源というわけではない
- 現在は人・動物・物・仕草など幅広い対象に使える
「かわいい」という言葉は、
最初から、
小さくて愛らしいもの
を表していたわけではありません。
「まともに見ていられない」という感覚から、
気の毒で見ていられない
という意味が生まれ、
さらに、
愛らしくて心をひかれる
という意味へ広がっていきました。
何気なく使っている「かわいい」ですが、その意味は長い時間をかけて大きく変化してきた言葉なのです。

