「とき」と「時」はどっちが自然?形式名詞と実質名詞の書き分けを解説

「困ったとき」「子どものとき」の「とき」は、ひらがなと漢字のどちらで書くのが自然なのでしょうか。

結論からいうと、

「〜する場合・場面」を表す形式名詞 → とき
時間・時期そのものを表す実質名詞 → 時

と考えると分かりやすいです。

日常的な文章では、「〜するとき」「〜だったとき」のように前の内容を受ける場合が多いため、ひらがなの「とき」を使う場面がかなり多くなります。

「とき」と「時」の違い

表記働き例
とき前の動作・状態を受けて、場合・場面を表す困ったときは相談する
時時間・時期そのものを表す時がたつ、時を待つ

ポイントは、「とき」自体が具体的な時間を表しているか、それとも前の内容を受けているかです。

形式名詞の「とき」はひらがなが自然

形式名詞の「とき」は、前の動作や状態を受けて、「その場合」「その場面」を表します。

「〜するとき」

外出するときは鍵をかける。
困ったときは相談してください。
電車に乗るときはICカードを使う。

この「とき」は、

外出する場合
困った場合
電車に乗る場合

と言い換えられます。

具体的な「時」そのものを指しているわけではなく、前の内容を受ける形式名詞なので、ひらがなが自然です。

「〜したとき」

家に着いたとき、電話してください。
初めて会ったときのことを覚えている。
転んだときに手をついた。

この場合も、「その場面で」「その場合に」という意味です。

そのため、「時」よりも「とき」と書くと自然です。

「子どものとき」「学生のとき」

子どものとき、よく川で遊んだ。
学生のときにアルバイトをしていた。
小学生のときから野球を続けている。

これらも、一般的な文章ではひらがなの「とき」が自然です。

「子どもだった場合」というより「子どもだったころ」という意味ですが、前の状態を受けて時期を示しているため、形式名詞的な使い方として扱えます。

実質名詞の「時」は時間そのものを表す

「時」と漢字で書きやすいのは、「時間」「時期」「時点」そのものを一つの名詞として表している場合です。

たとえば、

時がたつのは早い。
時を待つ。
時を同じくして二つの出来事が起きた。
時の流れを感じる。

この「時」は、前の動詞や状態を受けているのではありません。

「時間」という意味を持つ独立した名詞なので、「時」と漢字で書くのが自然です。

「あのとき」と「あの時」はどっち?

「あのとき」は、ひらがなでも漢字でも見かける表現です。

ただし、

あの時、電話が鳴った。
あの時の判断は間違っていなかった。

のように、ある特定の時点をはっきり指している場合は、「時」と漢字にしやすくなります。

一方、

あのとき、もっと話しておけばよかった。

のように、文章全体をやわらかく見せたい場合は「とき」と書いても自然です。

つまり、「あの時」は実質名詞として漢字にしやすいものの、必ず漢字にしなければならないわけではありません。

迷いやすい「とき/時」のケース

「必要なとき」はひらがな

必要なときに使ってください。

「必要な場合」と言い換えられるので、形式名詞の「とき」です。

「時間があるとき」もひらがな

時間があるときに読んでください。

「時間がある場合」という意味なので、ひらがなの「とき」が自然です。

文中に「時間」があっても、「とき」自体が実質名詞になるわけではありません。

「時が来る」は漢字

決断の時が来た。
出発の時が来た。

この「時」は、「時期」「タイミング」そのものを指しています。

前の内容を受ける形式名詞ではないため、「時」と書くのが自然です。

「時を忘れる」も漢字

楽しくて時を忘れた。

この「時」は「時間」の意味を持つ独立した名詞です。

そのため、「とき」ではなく「時」が自然です。

「とき」と「時」は言い換えると見分けやすい

迷ったときは、次のように確認します。

「場合・場面」に言い換えられるなら「とき」

困ったとき
→ 困った場合

外出するとき
→ 外出する場合

必要なとき
→ 必要な場合

この場合は、形式名詞の「とき」です。

「時間・時期・時点」に言い換えられるなら「時」

時がたつ
→ 時間がたつ

決断の時が来る
→ 決断の時期が来る

あの時を思い出す
→ あの時点を思い出す

この場合は、実質名詞としての「時」と考えやすくなります。

「時」と書けても「とき」にすることはある?

あります。

たとえば、

子どものとき
学生のとき
あのとき

は、漢字で書けないわけではありませんが、一般的な文章ではひらがなにするとやわらかく読みやすくなります。

そのため、

実質的な意味があるから必ず「時」

と機械的に決める必要はありません。

実用上は、

前の内容を受ける → とき
独立して時間そのものを表す → 時

を基本にすると迷いにくくなります。

迷ったときの見分け方

形式名詞なら「とき」

  • 困ったとき
  • 外出するとき
  • 必要なとき
  • 家に着いたとき
  • 子どものとき
  • 学生のとき

実質名詞なら「時」

  • 時がたつ
  • 時を待つ
  • 時を忘れる
  • 決断の時が来る
  • 時の流れ
  • あの時を振り返る

まとめると「場合」か「時間そのもの」かを見る

「とき」と「時」で迷ったら、

前の動作・状態を受けて「その場合」を表す → とき
時間・時期・時点そのものを表す → 時

と考えると分かりやすいです。

特に、

困ったとき
外出するとき
子どものとき

のような表現は、ひらがなが自然です。

一方、

時がたつ
時を待つ
決断の時が来る

のように、「時」そのものが独立した意味を持つ場合は漢字にすると自然です。

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