「〜してくる」と「〜して来る」はどっち?意味の違いと使い分けを例文で解説

「〜してくる」と「〜して来る」は、どちらも使われる表記ですが、一般的な文章では「くる」が補助的な意味で使われているか、実際の移動を表しているかによって使い分けます。

たとえば、変化が少しずつ現れることを表す「暖かくなってくる」や、何かをして戻ることを表す「確認してくる」では、ひらがなの「くる」が自然です。

一方、実際にこちらへ移動する意味を表す場合は、「友達がこちらへ来る」のように漢字で書きます。

この記事では、「〜してくる」と「〜して来る」の違いを例文で比較し、日常会話やビジネス文書で迷わないための使い分け方を解説します。

「〜してくる」と「〜して来る」の違い

基本的な違いは、「くる」が動作や変化に意味を添えているのか、実際に移動する動詞として使われているのかという点です。

公用文の表記方針でも、補助的な用法の「〜てくる」はひらがなで書く例が示されています。

表記主な意味例文
〜してくる動作の結果や変化が現れる、何かをして戻るだんだん寒くなってくる。
〜して来る実際にこちらへ移動してくる友達が駅から歩いて来る。

ただし、「〜してくる」は意味が一つに限られるわけではありません。

変化が現れる場合だけでなく、何かをしてから戻ることや、動作がこちらに向かって行われることを表す場合もあります。

「〜してくる」とひらがなで書くケース

「くる」が補助的に使われ、変化や動作の流れなどを表している場合は、ひらがなで書くのが一般的です。

変化や状態が現れてくるとき

時間の経過とともに変化が現れたり、ある状態になり始めたりすることを表す場合は、「〜してくる」と書きます。

  • 夕方になると、だんだん寒くなってくる。
  • 練習を続けるうちに、自信がついてくる。
  • 話を聞いているうちに、事情がわかってくる。
  • 疲れがたまると、集中力が落ちてくる。

これらの「くる」は、実際にどこかへ移動する意味ではありません。

時間の経過とともに変化や状態が現れることを表しているため、ひらがな表記が自然です。

何かをしてから戻るとき

ある場所へ行って何かをし、そのあと戻ってくることを表す場合も、「〜してくる」とひらがなで書くことがあります。

  • ちょっとコンビニで買い物してくる。
  • 担当者に予定を確認してくる。
  • 忘れ物を取りに行ってくる。
  • 必要な資料を探してくる。

この場合は、行って何かをすることと、戻ることが一まとまりの行動として表されています。

「確認して来る」と漢字で書くよりも、「確認してくる」とひらがなで書くほうが一般的です。

動作や感情の変化を表すとき

それまで続いていた動作や気持ちに変化が現れたり、ある状態が次第に強まったりする場合にも「〜してくる」を使います。

  • 少しずつ眠くなってくる。
  • 話しているうちに、緊張がほぐれてくる。
  • 何度も練習すると、動きが自然になってくる。
  • 先のことを考えると、不安になってくる。

ここでも「くる」は移動そのものを表していません。

変化が進み、現在の状態として感じられるようになることを表しているため、ひらがなで書くのが自然です。

「来る」と漢字で書くケース

「来る」は、人や物がこちらへ移動することを表す動詞です。

実際の移動が中心となっている場合は、漢字で書くと意味が明確になります。

人や物がこちらへ移動するとき

人がこちらへ向かって移動する場合や、物がこちらに届く場合などは、「来る」と書きます。

  • 友達が家に来る。
  • 宅配便が午後に来る。
  • 先生が教室に来る。
  • 遠方から親戚が来る。

これらは、実際の移動を表す動詞です。「くる」が別の動詞に意味を添えているわけではないため、漢字の「来る」が適しています。

人が何かをしながらこちらへ移動するとき

移動する動作そのものを強調する場合は、「〜して来る」と漢字で表すこともできます。

  • 友達が駅から歩いて来る。
  • 子どもたちが手を振りながら走って来る。
  • 店員が注文を取りに来る。

これらは、人が実際にこちらへ向かって移動してくる場面です。「来る」が移動を表す動詞として働いているため、漢字表記が適しています。

ただし、文章によっては「走ってくる」のようにひらがなで書かれることもあります。

特に、動作の勢いや継続などを一続きの表現として捉える場合は、ひらがな表記も見られます。

迷ったときは、文章の目的や媒体の表記ルールに合わせましょう。

表記を選ぶポイント

「〜してくる」と「〜して来る」で迷ったときは、実際の移動を表しているのか、それとも変化や動作の流れに意味を添えているのかを確認します。

変化や動作の補助ならひらがな

「〜してくる」を、変化が現れることや、何かをして戻ることとして使っている場合は、ひらがな表記が自然です。

表現意味表記の目安
寒くなってくる寒さが次第に感じられるひらがな
わかってくる理解できるようになるひらがな
確認してくる確認して戻るひらがな
眠くなってくる眠気が次第に現れるひらがな

文化審議会の「公用文作成の考え方」でも、補助的な用法の「〜(し)て来る」は「〜てくる」とひらがなで書く例が示されています。

実際の移動なら漢字を基本にする

人や物がこちらへ移動することを表す場合は、漢字の「来る」を基本に考えます。

表現意味表記の目安
友達が来る友達がこちらへ移動する漢字
先生が教室に来る先生が教室へ移動する漢字
宅配便が来る荷物が届けられる漢字

ただし、「走って来る」のように、動作と移動が結び付いている表現では、文脈や媒体の方針によってひらがな表記も使われます。

意味の区別をはっきりさせたい場合は、漢字表記を選ぶとわかりやすくなります。

ビジネス文書では表記を統一する

ビジネスメールやWeb記事では、補助的な意味の「くる」をひらがなに統一すると、文章が読みやすくなります。

  • 今後、問い合わせが増えてくると考えられます。
  • 詳細を確認してくるので、少々お待ちください。
  • 状況を整理することで、問題点が見えてくるでしょう。

一方、「担当者が会議室に来る」のように、実際の移動を表す場合は漢字を使います。

表記を決める際は、意味の違いと文章全体の統一感の両方を確認しましょう。

「〜してくる」と「〜して来る」に関するよくある質問

「確認してくる」と「確認して来る」はどちらが正しい?

確認するためにその場を離れ、確認後に戻るという意味なら、「確認してくる」とひらがなで書くのが一般的です。

「くる」は、確認するという動作に戻ってくる意味を添えています。

「走ってくる」と「走って来る」はどう違う?

実際にこちらへ走って移動することを明確に表すなら、「走って来る」と漢字で書けます。

一方、「走ってくる」とひらがなで書く表記も使われます。

移動の意味を明確にしたい場合は漢字、文章全体を読みやすく整えたい場合は媒体の表記方針に合わせて選ぶとよいでしょう。

「寒くなってくる」と「寒くなって来る」はどちらが自然?

「寒くなってくる」とひらがなで書くのが一般的です。

寒さが次第に感じられるようになるという変化を表しており、実際にどこかから「来る」という意味ではありません。

漢字とひらがなの使い分けをさらに確認する

「〜してくる」と「〜して来る」のように、補助的な用法と本来の動詞を区別すると、表記を選びやすくなります。

似た表現の使い分けについては、次の記事も参考にしてください。

まとめ

「〜してくる」と「〜して来る」は、「くる」が補助的な意味で使われているのか、実際の移動を表しているのかを基準に使い分けます。

  • 変化が現れる場合は「寒くなってくる」「わかってくる」のようにひらがなで書く。
  • 何かをして戻る場合は「確認してくる」「買い物してくる」のようにひらがなで書くのが一般的。
  • 人や物が実際にこちらへ移動する場合は「友達が来る」のように漢字で書く。
  • 「走って来る」のように移動を表す場合は漢字が使えるが、文脈や媒体の表記ルールも確認する。

迷ったときは、「くる」が実際の移動を表しているのか、それとも動作や変化に意味を添えているのかを考えると、自然な表記を選びやすくなります。

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