「よろしくお願いします」
「今後ともよろしく」
「彼にもよろしく伝えてください」
日常でも仕事でもよく使う「よろしく」。
ところが、
「よろしくって、そもそもどういう意味?」
と聞かれると、意外と説明しにくい言葉です。
結論からいうと、「よろしく」は古語の形容詞 「よろし」 の連用形に由来します。
「よろし」は、
好ましい
適当である
ふさわしい
といった意味を持つ言葉でした。
この記事では、「よろしく」の意味と語源、「よろしくお願いします」はなぜ依頼や挨拶になるのか、「宜しく」という漢字表記までわかりやすく解説します。
📖 「よろしく」とは?意味を簡単に
現在の「よろしく」には、いくつかの使い方があります。
代表的なのは、
- 相手に物事を頼む
- 好意的な対応を求める
- 挨拶として使う
- 他人への伝言を頼む
といった用法です。
「よろしくお願いします」の意味
「よろしくお願いします」は、
適切に取り計らってください
よいようにお願いします
といった意味を持つ表現です。
ただし実際には、具体的な依頼内容を一つに限定せず、
「これからお願いします」
「うまく進めてください」
「よい関係でお願いします」
など、文脈に応じて幅広く使われます。
🌿 「よろしく」の語源は古語「よろし」
「よろしく」は、形容詞、
よろし
の連用形です。
現代語でいう「よろしい」につながる言葉です。
古語「よろし」の意味
古い「よろし」には、
- 好ましい
- 心にかなう
- 適当である
- ふさわしい
などの意味がありました。
現在の「よい」に近い言葉ですが、古代では「よし」よりやや低い評価を表す場合があったとされています。
つまり、
最高に良い
というより、
まずまずよい・ふさわしい
といった意味でも使われていた言葉です。
「よろしく」はどういう形?
文法的には、
よろし → よろしく
という変化です。
「よろしく」は連用形
古語の形容詞「よろし」の連用形が、
よろしく
です。
現代でも、
「よろしい」
↓
「よろしく」
という関係が残っています。
たとえば、
「よろしく取り計らう」
なら、
適切に・よいように取り計らう
という意味になります。
「宜しく」は漢字で書く?
「よろしく」は、
宜しく
と漢字で書かれることがあります。
ただし、現在の日常文ではひらがなの、
よろしく
が一般的です。
「宜敷」は当て字
辞書では「宜敷」という表記も見られますが、これは当て字とされています。
普段のメールや文章では、無理に漢字にせず、
よろしくお願いします
とひらがなで書けば問題ありません。
「よろしく」の語源は「寄る」なの?
「よろしい」の語源については、辞書でも説があります。
「寄る」の形容詞化という説
「よろしい」は、
動詞「寄る」を形容詞化した語
とする説明があります。
「よらし」から変化したという説
古語には、
よらし
という形容詞もあります。
「よらし」は、
好ましい
好都合である
似つかわしい
という意味です。
「よろし」は、この「よらし」が音変化したものとする説もあります。
ただし、「よらし」自体の語源にも複数の説があります。
そのため、
「よろしく=寄りしく」が確定した語源
と断定するのは避けた方がよいでしょう。
「よろしくお願いします」はなぜ依頼になる?
「よろしく」はもともと、
よいように
適切に
ふさわしく
といった意味で使われる副詞です。
そこに、
お願いします
が続きます。
「よいようにお願いします」
意味を補って考えると、
よろしくお願いします
= よいようにお願いします
= 適切に取り計らってください
という構造です。
具体的な内容を一つずつ言わなくても、前後の文脈から何を頼んでいるのかが分かるため、幅広い場面で使える表現になっています。
「よろしくお願いします」は何をお願いしているの?
これは場面によって変わります。
初対面なら
「これからよろしくお願いします。」
なら、
今後よい関係でお付き合いください
という挨拶です。
仕事の依頼なら
「資料の確認をよろしくお願いします。」
なら、
資料を確認してください
という依頼です。
メールの締めなら
「ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
なら、
直前に述べた依頼を丁寧に念押しする役割があります。
同じ「よろしくお願いします」でも、何をお願いしているかは文脈によって変わります。
💬 「よろしく」の主な使い方
「よろしく」は、挨拶だけの言葉ではありません。
初対面の挨拶
「はじめまして。よろしくお願いします。」
初対面で、その後の関係について挨拶するときに使います。
依頼
「明日の準備をよろしくお願いします。」
相手に何かを頼む使い方です。
伝言
「ご家族にもよろしくお伝えください。」
この場合は、
好意を伝えてください
こちらからの挨拶を伝えてください
という意味になります。
今後の関係
「今後ともよろしくお願いいたします。」
これからも関係や取引を続けたい場面で使います。
「よろしく」と「お願いします」の違い
この二つは一緒に使われることが多いですが、役割が違います。
「よろしく」は副詞
「よろしく」は、
よいように
適切に
という意味を添えます。
「お願いします」は依頼
「お願いします」は、
相手に何かを頼む
表現です。
そのため、
よろしく+お願いします
で、
よいように取り計らうことをお願いします
という形になります。
「よろしく」は単独でも使える?
使えます。
たとえば、
「じゃあ、明日の件よろしく。」
と言えます。
これは、
明日の件をお願いします
という意味です。
ややくだけた表現
「よろしく」だけで終えると、「よろしくお願いします」より簡潔でくだけた印象になります。
相手や場面によって使い分けるとよいでしょう。
「よろしくね」とは?
「よろしくね」は、
よろしくお願いしますね
をくだけさせた表現です。
- またよろしくね
- 明日のことよろしくね
- みんなにもよろしくね
などと使います。
友人や親しい相手との会話に向いています。
「こちらこそよろしくお願いします」とは?
相手から、
「よろしくお願いします」
と言われたときに、
こちらこそよろしくお願いします
と返すことがあります。
これは、
私の方こそ、あなたによろしくお願いしたいです
という意味です。
初対面や仕事の挨拶でもよく使われます。
「今後ともよろしくお願いします」とは?
「今後とも」は、
これから先も
今後も引き続き
という意味です。
そのため、
「今後ともよろしくお願いします」
は、
これからも引き続き、よい関係をお願いします
という挨拶になります。
取引先や仕事上のメールでもよく使われます。
「何卒よろしくお願いします」とは?
「何卒」は、
どうか
どうぞ
という意味を持つ改まった表現です。
そのため、
何卒よろしくお願いいたします
とすると、依頼の気持ちを丁寧に表せます。
通常の「よろしくお願いします」より改まった場面で使われます。
「よろしく」は英語でどう訳す?
「よろしく」には、いつでも使える一つの英訳はありません。
文脈によって訳し分ける
たとえば、
初対面なら、
「Nice to meet you.」
依頼なら、
「Thank you in advance.」
「Please …」
伝言なら、
「Please give my regards to …」
など、場面によって表現が変わります。
これは「よろしく」が複数の場面で使われるためです。
「よろしく」に日本文化特有の意味がある?
「よろしく」は日本語らしい便利な表現ですが、
「日本人は曖昧さを好むから生まれた」
「調和を重んじる文化が語源」
とまで断定する必要はありません。
語源として確認できるのは、
古語「よろし」から「よろしく」が生じた
という言葉の歴史です。
文化的な解釈と、語源そのものは分けて考えた方が正確です。
❓ 「よろしく」についてよくある質問
Q1. 「よろしく」とはどういう意味?
「よいように」「適切に取り計らうように」といった意味を持つ言葉です。
現在は依頼や挨拶など幅広い場面で使われます。
Q2. 「よろしく」の語源は?
古語の形容詞「よろし」の連用形「よろしく」に由来します。
Q3. 古語「よろし」の意味は?
「好ましい」「適当である」「ふさわしい」などの意味です。
Q4. 「よろしく」は「寄る」が語源?
「よろしい」を動詞「寄る」の形容詞化とする説や、「よらし」の音変化とする説があります。
確定した一説だけに限定しない方がよいでしょう。
Q5. 「宜しく」と漢字で書いてもいい?
書くことはできますが、現在は「よろしく」とひらがなで書くのが一般的です。
Q6. 「よろしくお願いします」は何をお願いしているの?
文脈によって変わります。
仕事の依頼、今後の関係、確認など、直前の内容を「よいようにお願いします」と頼む表現です。
Q7. 「よろしく」だけでも使える?
はい。
「明日の件、よろしく」のように使えますが、「よろしくお願いします」よりくだけた表現です。
Q8. 「よろしく」と「お願いします」の違いは?
「よろしく」は「よいように・適切に」という意味を添える副詞で、「お願いします」は相手への依頼を表します。
🌱 まとめ
「よろしく」は、日常や仕事で非常によく使う言葉です。
ポイントをまとめると、
- 古語「よろし」の連用形が「よろしく」
- 「よろし」は「好ましい・適当・ふさわしい」などの意味
- 古代では「よし」より低い評価を表す場合もあった
- 「よろしく」は「よいように・適切に」という意味を持つ
- 「よろしくお願いします」は「よいように取り計らってください」という構造
- 初対面・依頼・伝言・メールの締めなど幅広く使える
- 「宜しく」という漢字表記もある
- 「宜敷」は当て字
- 「寄る」の形容詞化説や「よらし」からの変化説がある
- 「寄りしく」が確定語源とはいえない
- 「日本の調和文化が語源」とまで説明する必要はない
「よろしくお願いします」が便利なのは、
何をお願いしているかを、文脈に応じて柔軟に受け持てる
ところにあります。
その出発点には、「好ましい・ふさわしい」を意味する古い「よろし」があります。
現在の定型的な挨拶も、古い言葉の形を今に残しているのです。

