「計画をすすめる」「友人に旅行をすすめる」――同じ「すすめる」でも、漢字は同じではありません。
物事を前へ進行させるなら「進める」、人に何かをするよう促すなら「勧める」と考えると、ほとんどの場面で判断できます。
たとえば、「計画を進める」は計画そのものを前へ動かしているので「進める」。
「旅行を勧める」は相手に旅行するよう促しているので「勧める」です。
「進める」と「勧める」の違いを一言でいうと
| 表記 | 中心となる意味 | 判断のポイント | 例 |
|---|---|---|---|
| 進める | 物事を前へ動かす・進行させる | 何かが「先へ進む」か | 計画を進める、話を進める |
| 勧める | 人に何かをするよう促す | 相手に「やってみて」と働きかけるか | 参加を勧める、休養を勧める |
迷ったときは、「前へ進行させる」のか、「人に行動を促す」のかを見ます。
「すすめる」の後ろに来る言葉だけでなく、その文で何をしているのかを見るのがポイントです。
「進める」を使うのは、物事を先へ動かすとき
「進める」は、実際に前方へ動かす場合だけでなく、予定・作業・話などを次の段階へ進行させる場合にも使います。
たとえば、次の「すすめる」は「進める」が自然です。
- 計画を進める
- 話を進める
- 準備を進める
- 手続きを進める
- 時計を5分進める
「旅行の準備を進める」なら、旅行を誰かに提案しているのではなく、準備という作業を先へ進行させています。
「では、次の議題に移りましょう。話を進めます」のような場合も同じです。
「勧める」を使うのは、人に「してみて」と促すとき
「勧める」は、相手にある行動をするよう促したり、何かを利用・飲食するよう働きかけたりするときに使います。
- 友人に参加を勧める
- 家族に早めの受診を勧める
- 疲れている人に休養を勧める
- 客にお茶を勧める
ここで中心になっているのは、物事の進行ではなく、相手への働きかけです。
「医師が患者に休養を勧めた」なら、「休養したほうがよい」と相手に促しているため「勧める」になります。
迷いやすい「すすめる」を具体例で判定
単語だけを見るより、実際の文章で比べると違いがはっきりします。
「仕事をすすめる」なら?
仕事を進行させる意味なら「仕事を進める」です。
例:午前中にできるだけ仕事を進めておこう。
仕事そのものを先へ動かしているため、「勧める」ではありません。
「話をすすめる」なら?
話し合いや会話を先へ進行させるなら、「話を進める」です。
例:全員がそろったので、本題へ話を進めた。
一方、「本人に家族と話すことをすすめた」なら、人に行動を促しているため、「家族と話すことを勧めた」となります。
「勉強をすすめる」なら?
ここは文脈によって漢字が変わります。
自分の勉強を先へ進めるなら「進める」です。
例:夏休みのうちに数学の勉強を進めておく。
誰かに勉強したほうがよいと促すなら「勧める」です。
例:先生は生徒に毎日の復習を勧めた。
「勉強だから進める」のように名詞だけで決めず、その勉強を前へ進行させているのか、誰かに勧めているのかを見る必要があります。
「手続きをすすめる」なら?
申請などの手続きを先へ進行させるので、通常は「手続きを進める」です。
例:必要な書類がそろったので、手続きを進めます。
ところが、こんな文なら両方の漢字が登場します。
担当者から、早めに手続きを進めるよう勧められた。
「手続き」は前へ進めるもの。それを「早くしたほうがよい」と人に促す行為は勧めるものです。
この一文を基準にすると、二つの違いを覚えやすくなります。
「本をすすめる」は「勧める」ではなく「薦める」こともある
「すすめる」には、もう一つ「薦める」という表記があります。
「薦める」は、人や物をよいものとして推薦する意味で使われます。
そのため、「友人にこの本を薦める」「候補者として彼を薦める」のような表現があります。
一方、「運動を勧める」「参加を勧める」のように、相手に何らかの行動をするよう促す場合は「勧める」がわかりやすい使い分けです。
この記事の「進める」と「勧める」で迷った場合は、まず進行なのか、相手への働きかけなのかを判断すれば十分です。
「本や商品をおすすめする」のようなケースでは、「薦める」も候補になると覚えておくとよいでしょう。
迷ったときは「何が前へ進むのか」を考える
「進める」と「勧める」は、次のように考えると判断しやすくなります。
- 物事そのものが前へ進む → 進める
- 人に「やってみて」と促す → 勧める
「計画を進める」「準備を進める」では、計画や準備が次の段階へ移ります。
「参加を勧める」「休養を勧める」では、相手にその行動をするよう働きかけています。
同じ名詞でも文脈によって変わる場合があるので、「○○にはこの漢字」と丸暗記するより、進行か、働きかけかで考えるほうが応用できます。

