「見ていていたわしい」
「いたわしい身の上だ」
「そんな姿がいたわしく感じられた」
「いたわしい」は、日常会話では少し古風に感じられる言葉ですが、小説や文章では今も使われています。
ただ、
「かわいそうと何が違う?」
「痛ましいと同じ?」
「“いたわる”と関係がある?」
と考えると、少し分かりにくい言葉でもあります。
「いたわしい」とは、簡単にいうと、相手の状態を気の毒に思い、同情せずにはいられない様子を表す言葉です。
この記事では、「いたわしい」の意味・使い方・例文、古語での意味、「かわいそう」「痛ましい」「いじらしい」との違い、類語・言い換えまでわかりやすく解説します。
📖 「いたわしい」とは?意味を簡単に
「いたわしい」は、相手のつらい状態や身の上などを見て、心を痛めたり、気の毒に感じたりするときに使います。
気の毒で同情せずにいられない
たとえば、
- 病気で弱った姿がいたわしい。
- 幼い子どもの境遇がいたわしい。
- その身の上を思うといたわしい。
などです。
単に「かわいそう」と判断するだけでなく、
見ているこちらも心が痛む
ようなニュアンスがあります。
「いたわってあげたい」と感じる状態
「いたわしい」は、
いたわりたくなるような状態
を表す言葉でもあります。
そのため、
- 弱っている
- 苦しんでいる
- 不幸な状況にある
- 無理をしている
といった相手に対して使いやすい言葉です。
💬 「いたわしい」の使い方と例文
「いたわしい」は、人の身の上・姿・状態などについて使われることが多い言葉です。
人の状態について使う
- やせ細った姿がいたわしかった。
- 病床の彼を見るといたわしい気持ちになる。
- 幼くして家族を失ったその子がいたわしい。
- 無理を重ねている様子がいたわしく見えた。
相手の苦しさや弱った様子を見て、同情する気持ちを表します。
身の上・境遇について使う
- なんともいたわしい身の上だ。
- 彼女の境遇を思うといたわしい。
- いたわしい人生を送ってきた人だった。
目の前の姿だけでなく、人生や境遇について使うこともあります。
🌿 「いたわしい」の語源・古い意味
「いたわしい」の文語形は「いたはし」です。
現在よりも古くから使われてきた言葉で、意味も一つではありませんでした。
古くは「苦しい・気苦労だ」の意味もあった
古い「いたはし」には、
- 骨が折れて苦しい
- 心配だ
- 気苦労だ
- 病気で苦しい
といった意味がありました。
つまり、最初から現在の「かわいそう」という意味だけだったわけではありません。
「大切にしたい」「気の毒だ」の意味へ広がった
古い用例では、
- 大切に思う
- いたわって大事にしたい
- 相手の状態を見て心が痛む
- 気の毒に思う
といった意味でも使われています。
現在では、その中でも、
相手を気の毒に思い、いたわりたくなる
という意味が中心になっています。
「いたわしい」と「いたわる」は関係ある?
意味の上では、かなり近い関係があります。
「いたわる」は相手を大切に扱う
「いたわる」は、
- 弱っている人を大切にする
- 相手の苦労をねぎらう
- 体や心を大事にする
といった意味で使います。
たとえば、
「病人をいたわる」
「自分の体をいたわる」
などです。
「いたわしい」は“いたわりたくなる状態”
「いたわしい」は、
相手をいたわってあげたくなるほど気の毒な状態
を表します。
つまり、
いたわしい → 相手の状態について感じる
いたわる → 相手に対して行動する
という違いがあります。
🔍 「いたわしい」と「かわいそう」の違い
意味はかなり近く、置き換えられる場面もあります。
「かわいそう」は日常的で幅広い
たとえば、
- かわいそうな子ども
- そんなに働いてかわいそう
- 雨にぬれてかわいそう
など、日常会話で非常によく使われます。
相手に対する同情を、直接的に表す言葉です。
「いたわしい」は文章的で心を痛めるニュアンスがある
「いたわしい」は、
「いたわしい身の上」
「その姿がいたわしい」
のように、やや文章的・古風な印象があります。
また、
気の毒なので大切にしてあげたい
見ているこちらも心が痛む
というニュアンスが出やすい言葉です。
簡単にいうと、
かわいそう:同情を広く表す日常語
いたわしい:同情に加えて、いたわりたい気持ちが感じられる表現
という違いがあります。
🔍 「いたわしい」と「痛ましい」の違い
この2つも非常に近い言葉です。
「痛ましい」は強い心痛を感じる場面に使いやすい
「痛ましい」は、
- 痛ましい事故
- 痛ましい事件
- 痛ましい姿
などと使います。
特に、
見聞きして心が痛むほど悲惨な出来事
に使われることが多い言葉です。
「いたわしい」は人への同情が前に出やすい
「いたわしい」は、
- 病人
- 弱っている人
- 不幸な境遇にある人
などに対して、
気の毒だ、いたわってあげたい
と感じる場面に向いています。
たとえば、
痛ましい事故
は自然ですが、
いたわしい事故
とは通常あまり言いません。
一方、
いたわしい身の上
は自然です。
そのため、
痛ましい:出来事や状態を見て心が痛む
いたわしい:相手を気の毒に思い、いたわりたくなる
という違いが出やすいでしょう。
🔍 「いたわしい」と「いじらしい」の違い
「いじらしい」も、相手を見て心を動かされる言葉です。
「いじらしい」は健気さを感じる場合に使う
たとえば、
「幼いのに我慢している姿がいじらしい。」
という場合です。
そこには、
健気で、かわいそうで、心を打たれる
という気持ちがあります。
「いたわしい」は健気さが必要ではない
「いたわしい」は、
相手が頑張っているかどうかに関係なく使えます。
- 病気で苦しんでいる
- 不幸な境遇にある
- 弱っている
という状態そのものに同情するときにも使えます。
つまり、
いじらしい:健気な様子に同情や愛情を感じる
いたわしい:苦しい状態や境遇を気の毒に思う
という違いがあります。
🔍 「いたわしい」と「不憫」の違い
「不憫」も近い意味を持つ言葉です。
「不憫」は気の毒・かわいそうという意味
たとえば、
「幼い子どもが不憫でならない。」
のように使います。
相手の境遇をかわいそうに思う意味です。
「いたわしい」は状態を形容しやすい
「いたわしい姿」
「いたわしい身の上」
のように、相手の様子や状態そのものを形容する形でよく使われます。
一方、
「不憫に思う」
のように、「不憫」は自分の同情を表す形でもよく使われます。
「いたわしい」は人に言うと失礼?
場合によっては注意が必要です。
第三者について述べる文章では使える
たとえば、
「その境遇はいたわしいものだった。」
のように、文章で第三者について述べる場合には使えます。
本人に直接言うと上から目線に聞こえることもある
本人に向かって、
「あなたはいたわしいですね。」
と言うと、
かわいそうな人だと見下されている
ように感じられる可能性があります。
これは「かわいそう」と同じです。
相手本人への声かけなら、
- 大変でしたね
- おつらかったですね
- どうか無理をなさらないでください
などの方が自然な場合があります。
「いたわしい」は古語?
完全な古語ではありません。
現代でも使われる言葉
現在の辞書にも掲載されており、
「いたわしい身の上」
「いたわしい姿」
などと現代でも使われます。
日常会話ではやや古風・文章的
ただし、
「かわいそう」
「気の毒」
などと比べると、普段の会話では使う機会が少なく、
文章的・文学的な印象
を持たれやすい言葉です。
小説やエッセイなどでは今も比較的自然に使われます。
💡 「いたわしい」の類語・言い換え
文脈によって、さまざまな言葉に言い換えられます。
日常的な言い換え
- かわいそう
- 気の毒
- 不憫
- 痛々しい
- 痛ましい
などがあります。
たとえば、
「いたわしい身の上だ。」
なら、
「気の毒な身の上だ。」
と言い換えられます。
心情を含む言い換え
- 見るに忍びない
- 心が痛む
- 同情を禁じえない
- いたたまれない
なども、場面によって近い表現になります。
ただし、「いたたまれない」は自分がその場にいづらい気持ちを表す場合もあるため、完全な同義語ではありません。
❓ 「いたわしい」についてよくある質問
Q1. 「いたわしい」の意味は?
相手の状態を気の毒に思い、同情せずにはいられない様子を表します。
Q2. 「いたわしい」の漢字は?
「労しい」と書くことがあります。
古い表記では「痛」を用いた例もあります。
現在は、ひらがなの「いたわしい」でも自然です。
Q3. 「いたわしい」の語源は?
古い形は「いたはし」です。
古くは「苦しい」「気苦労だ」「病気でつらい」「大切にしたい」など複数の意味があり、現在では「気の毒でいたわりたくなる」の意味が中心です。
Q4. 「いたわしい」と「かわいそう」の違いは?
「かわいそう」は日常的な同情表現です。
「いたわしい」はやや文章的で、相手をいたわってあげたい気持ちが含まれやすい言葉です。
Q5. 「いたわしい」と「痛ましい」の違いは?
「痛ましい」は事故や事件など、見聞きして強く心が痛む出来事にもよく使います。
「いたわしい」は、人の状態や境遇を気の毒に思う場合に使いやすい言葉です。
Q6. 「いたわしい」と「いじらしい」の違いは?
「いじらしい」は、健気な姿に同情や愛情を感じる場合に使います。
「いたわしい」は、健気さがなくても、苦しい状態や境遇そのものに対して使えます。
Q7. 「いたわしい」は今でも使う?
使います。
ただし日常会話より、小説・文章などで使われることが多く、やや古風な印象があります。
Q8. 人に「いたわしい」と言うのは失礼?
本人に直接使うと、上から同情されているように聞こえる可能性があります。
直接声をかけるなら、「大変でしたね」「おつらかったですね」などの方が自然な場合があります。
🌱 まとめ
「いたわしい」とは、相手のつらい状態や境遇を気の毒に思い、同情せずにはいられない様子を表す言葉です。
ポイントをまとめると、
- 文語形は「いたはし」
- 古くから使われている言葉
- 古語では「苦しい」「心配だ」「病気でつらい」などの意味もあった
- 「大切にしたい・いたわりたい」という意味もあった
- 現代では「気の毒で同情せずにいられない」が中心
- 「かわいそう」より文章的・古風な印象
- 「痛ましい」は事故・事件などにも使いやすい
- 「いじらしい」は健気さがポイント
- 本人に直接使うと上から目線に聞こえる場合がある
- 類語は「気の毒」「不憫」「痛ましい」「かわいそう」など
「いたわしい」を理解するポイントは、
ただ“かわいそう”と思うだけでなく、相手をいたわりたくなるほど心が動かされる状態
ということです。
そのため、
「いたわしい身の上」
「いたわしい姿」
のように、人のつらい境遇や弱った状態を表す言葉として使われています。

