「味がある」という言葉は、ただ「良い」「きれい」「上手い」と言うのとは少し違います。
どこか不完全で、派手ではない。
それでも、なぜか惹かれてしまう――
そんなときに、人は「味がある」と言います。
この独特の評価は、どこから生まれたのでしょうか。
実は「味がある」の語源をたどると、
人の心よりも先に、身体の感覚――“味わう”という行為に行き着きます。
本記事では、「味がある」の語源・意味の広がり・感情とのつながりを読み解き、なぜこの言葉が“欠点すら魅力に変える評価語”になったのかを探ります。
「味がある」の意味をひと言でいうと?
欠点や不揃いさを含めて、じっくり評価したくなる魅力があること。
単なる美しさや完成度ではなく、時間をかけて感じ取る価値を含んだ言葉です。
日常での使われ方
- この店主、話し方に味がある
- 古い建物だけど、味があるよね
- 下手だけど、なんだか味がある絵
共通しているのは、「一瞬では良さがわからない」という点です。
「味がある」の語源・由来(結論)
語源の結論まとめ
「味がある」の語源は、味覚としての「味」にあります。
味とは本来、
- 噛む
- 舐める
- 飲み込む
といった身体的な体験を通して初めてわかる感覚でした。
そこから転じて、
すぐにはわからないが、
じっくり向き合うほど良さが出てくる
という評価の比喩として使われるようになったのです。
「味」が表す本来の感覚
味覚は「即断できない感覚」
甘い・苦い・渋い・酸っぱい――
味は、見ただけでは判断できません。
口に入れ、時間をかけて感じるものです。
この特徴が、そのまま「味がある」の評価構造になっています。
なぜ「味がある」は欠点を含めて褒めるのか
完成度の高いものは、
- きれい
- 上手い
- 洗練されている
と評価されます。
一方で「味がある」は、
- 不器用
- 古い
- クセがある
といった要素を排除しません。
これは、
👉 味覚が“苦味や渋み”も含めて成立する感覚だからです。
感情語とのつながり(内部リンク)
「味がある」が成立する背景には、感情の動きがあります。
- 👉 「いたわしい」
不完全さに心が寄り添う感情 - 👉 「いとしい」
弱さや儚さに引き寄せられる感情 - 👉 「ものがなしい」
はっきりしない余韻を受け止める感情
「味がある」とは、感情が即断を拒み、立ち止まった結果生まれる評価なのです。
「味がある」と似た表現との違い
| 表現 | ニュアンス |
|---|---|
| 上手い | 技術評価 |
| きれい | 見た目評価 |
| おもしろい | 即時的な反応 |
| 味がある | 時間をかけた感情評価 |
文化的背景:日本語は“不完全”を残す
日本文化では、
- 古さ
- 欠け
- 不揃い
が否定されきらず、余白として評価されてきました。
「味がある」は、その象徴的な言葉です。
比喩ストーリー:味があるとは何か
「味がある」は、初めて飲んだときはピンとこないお茶に似ています。
何度か飲むうちに、
- 苦み
- 香り
- 後味
が少しずつわかってくる。
その“わかってくる過程”そのものが、「味がある」という評価なのです。
まとめ:「味がある」の語源を知ると何が変わる?
- 「味がある」は味覚から生まれた比喩
- 即断できないものへの評価語
- 欠点を含めて価値とする日本語
- 感情がゆっくり動いた結果の言葉
「味がある」と言えるとき、人はもう“比べる評価”をやめている。
それは、相手とちゃんと向き合った証です。

