「この説明だけでは心もとない。」
「一人で行かせるのは心もとない。」
「この人数では少し心もとない。」
「心もとない」は、
頼りなく、不安で心が落ち着かない
ときに使う言葉です。
相手や物事が信用できない場合だけでなく、
十分ではない
先の見通しが立たない
安心できるだけの確かさがない
と感じる場面にも使われます。
古くは、
心許なし(こころもとなし)
という形で使われ、さらに古い「うらもとなし」という表現もあります。
この記事では、「心もとない」の意味・語源、使い方、「頼りない」「心細い」「おぼつかない」との違いまでわかりやすく解説します。
📖 「心もとない」とは?意味を簡単に
「心もとない」は、
頼りなく不安で、心が落ち着かない
という意味です。
人について使う
たとえば、
- 彼一人に任せるのは心もとない
- 新人だけでは少し心もとない
- 子どもだけで出かけるのは心もとない
などです。
この場合は、
本当に大丈夫だろうか
安心して任せられるだろうか
という不安を表しています。
物や状況についても使う
人だけではありません。
- この装備では心もとない
- 予算がこれだけでは心もとない
- この情報だけでは心もとない
- 残り時間が少なくて心もとない
など、
十分とは言えず、安心できない
という意味でも使います。
🌿 「心もとない」の古い形
「心もとない」は、古くは、
心許なし
という形で使われていました。
「心許なし」は古くからある言葉
「心許なし」には、
気がかりだ
不安だ
頼りない
という意味があります。
また、古い用法では、
待ち遠しい
じれったい
といった意味でも使われました。
そのため、現在の「不安・頼りなさ」だけでなく、
気になって心が落ち着かない
という広い感覚を持っていた言葉です。
「うらもとなし」という古い形もある
さらに古い日本語には、
うらもとなし
という形もあります。
ここでいう「うら」は、
心
を意味します。
「うらもとなし」も、
待ち遠しい
気がかりである
という意味で使われました。
この古い形からも、
「心もとない」がもともと、
心が落ち着かない状態
を表す言葉だったことがわかります。
🔍 「心許」の「許」はどういう意味?
「心許」という漢字を見ると、
「心を許す」
の「許」を連想するかもしれません。
しかし、
「心を許せる場所がない」
「心を置く足場がない」
という意味に分解して語源を説明するのは避けた方がよいでしょう。
漢字を一字ずつ現代語で分解しない
「心もとない」は古くから一まとまりの表現として使われてきました。
そのため、
心+許+ない
を現代語の感覚で分解して、
「心を預ける場所がない」
と説明すると、語源以上の意味を作ってしまいます。
重要なのは、
気がかりで心が落ち着かない
頼りなく不安である
という古くからの意味です。
💬 「心もとない」はどんな場面で使う?
「心もとない」は、日常会話でも文章でも使えます。
人を頼りなく感じるとき
「彼だけに任せるのは心もとない。」
→ 十分に安心して任せられない。
情報が十分でないとき
「この説明だけでは心もとない。」
→ 判断するには情報が足りない。
数量や準備が不足しているとき
「この人数では少し心もとない。」
→ 必要な人数として十分とは感じられない。
このように「心もとない」は、
不安
だけでなく、
不足感
頼りなさ
確かさのなさ
も表せる言葉です。
🔍 「心もとない」と似た言葉の違い
「頼りない」「心細い」「おぼつかない」は、どれも「心もとない」と近い言葉です。
「心もとない」と「頼りない」
「頼りない」は、
あてにできない
頼りにならない
という意味です。
たとえば、
「頼りない上司」
なら、その人自身の能力や態度を評価しています。
一方、
「この人数では心もとない」
なら、
状況全体に安心できない
という意味です。
大まかには、
頼りない
→ 人や物をあてにできない
心もとない
→ 頼れるかどうか不安で、心が落ち着かない
という違いがあります。
「心もとない」と「心細い」
「心細い」は、
頼るものがなく、不安に感じる
ときによく使います。
「知らない土地に一人でいて心細い。」
のような使い方です。
一方「心もとない」は、
「この装備では心もとない。」
のように、人以外の条件についても自然に使えます。
類語辞典では、「心細い」は自分自身について使うことが多く、「心もとない」は他人などを見て不安に思う場合にも使われると説明されています。
「心もとない」と「おぼつかない」
「おぼつかない」は、
はっきりしない
確かでない
頼りない
という意味です。
- 足取りがおぼつかない
- 記憶がおぼつかない
- 成功するかおぼつかない
などと使います。
「心もとない」も不確かさを表しますが、
その不確かさに対して不安を感じている
というニュアンスが出やすい言葉です。
「心もとない」と「不安」の違い
「不安」は非常に広い言葉です。
「不安」は心配な気持ち全般
- 将来が不安
- 試験が不安
- 健康が不安
など、さまざまな心配に使えます。
「心もとない」は頼りなさを含みやすい
「心もとない」は、
頼れるだけの確かさがない
という感覚を含みやすい言葉です。
たとえば、
「将来が不安」
は自然ですが、
「将来が心もとない」
では、見通しや準備が十分でないという感じが強くなります。
❓ 「心もとない」についてよくある質問
Q1. 「心もとない」の意味は?
頼りなく不安で、心が落ち着かないことです。
Q2. 「心もとない」は漢字でどう書く?
「心許ない」と書きます。
ただし、ひらがなで「心もとない」と書くこともよくあります。
Q3. 古語では何と言った?
「心許なし(こころもとなし)」という形があります。また、さらに古く「うらもとなし」という表現もあります。
Q4. 「心許」は「心を許す」という意味?
そのように単純には分解できません。「心を許せる場所がない」という説明は、語源としては避けた方がよいでしょう。
Q5. 「心もとない」と「頼りない」の違いは?
「頼りない」はあてにならないこと、「心もとない」は頼れるかどうか不安で心が落ち着かないことを表しやすい言葉です。
Q6. 「心もとない」と「心細い」の違いは?
「心細い」は自分に頼るものがなく不安な気持ちを表しやすく、「心もとない」は他人や状況について「大丈夫だろうか」と不安に感じる場合にもよく使います。
Q7. 「心もとない」と「おぼつかない」の違いは?
「おぼつかない」は物事が不確か・はっきりしないこと、「心もとない」はその不確かさに頼りなさや不安を感じることを表しやすい言葉です。
Q8. 昔の「心もとない」は現在と同じ意味?
不安・気がかりという意味は共通していますが、古くは「待ち遠しい」「じれったい」といった意味でも使われました。
🌱 まとめ
「心もとない」は、
頼りなく不安で、心が落ち着かない
ことを表す言葉です。
ポイントをまとめると、
- 古くは「心許なし」という形で使われた
- さらに古い「うらもとなし」という形もある
- 「うら」は「心」の意味
- 古くは「気がかり」「待ち遠しい」という意味もあった
- 現在は「頼りなく不安」という意味が中心
- 人だけでなく、情報・人数・予算・装備などにも使える
- 「心を預ける足場がない」が確定した語源ではない
- 「頼りない」は「あてにできない」ことが中心
- 「心細い」は自分自身の不安に使いやすい
- 「おぼつかない」は不確か・はっきりしないことを表しやすい
「心もとない」は、
支えを失った心
と文学的に表現することはできます。
ただし、語源そのものをそう説明する必要はありません。
古い用法から見えてくるのは、
何かが気にかかり、心が落ち着かない
という感覚です。
そこから現在の、
「この準備だけでは心もとない。」
「一人で任せるには心もとない。」
という使い方につながっています。

