「つらい」は、悲しみ・苦しみ・ストレス・疲労…さまざまな“不快な重さ”をまとめて表す日本語ですが、その語源は意外にも “つ(強)” に由来する説 が有力です。
「つめたい」「つよい」と同じ系列で、もとは“強く圧がかかる・重い・きつい”という状態を表していました。
そこから心の状態にも転じ、
“耐えられないほどの負荷” → “つらい”
という意味が成立していきます。
本記事では「つらい」の語源と感情構造を深掘りし、この言葉がどのように心の重さを形づくってきたのかを公開します。
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「つらい」の意味をひと言でいうと?
現在の意味の要点
「つらい」は、“心や身体に強い負荷がかかり、耐えにくい状態” を指します。
- 悲しみ
- 苦しみ
- 痛み
- 疲労
- 圧力
- 心労
など、多様な負の感情をまとめる総称ですが、最大の特徴は “我慢している状態” にあります。
日常での使われ方
- 仕事がつらい
- 別れがつらい
- 人間関係がつらい
- 病気・体調
- 将来の不安
- 日常のストレス
心の重さから身体的な痛みまで、広く使われます。
「つらい」の語源・由来(まずは結論)
語源の結論まとめ
語源は “つ(強)” に由来する形容語「つらし」。
“強くあたってくる・きつい・むごい・ひどい” という意味で、自然現象や状況の厳しさを表す言葉として使われていました。
これが派生して、
- 心に強い力がかかる
- 精神的に押しつぶされる
→ 現代の「つらい」へ。
最初の用例と時代背景
平安〜中世の文献には「つらし」「つらく」などの用例があり、意味は“無情・むごい・あたりが強い”が中心。
「つらき世(厳しい世の中)」
「つらき風(強く冷たい風)」
のように、自然の強さを表すのが原型でした。
のちに心理表現へ拡大し、“心に吹き付ける強い風”のような感情を「つらい」と呼ぶようになりました。
なぜ「つらい」は“心の痛み”を意味するようになったのか
元になった古語・漢字・表記
語源とされる“つ”は「強」を表す語根で、“つよい・つめたい・つらい”の系列に残っています。
- つよい(力が強い)
- つめたい(身に強く冷たさが当たる)
- つらい(心に強い痛みが当たる)
という共通構造。
漢字では「辛い」「痛い」「辛辣(しんらつ)」など、強い刺激や苦しさを示す表記が当てられました。
意味が変化したプロセス
「強く当たる(つらし)」
→ “厳しい・むごい状況”
→ “精神的に耐えにくい”
→ “心が痛む・苦しい”
→ 現代の「つらい」
日本語は“身体の状態”が“心の状態”へ拡大することが多く、つらいもその典型です。
「つらい」に隠れる文化的ストーリー
当時の価値観・社会背景
古代〜中世の日本の生活は自然と隣り合わせで、寒さや風の強さなど“外からの圧”が生活を決めていました。
そのため
“つらい=外の力が襲ってくる”
というイメージが自然に成立。
この感覚が心にも転じ、“心に強い風が吹く”ような感情が「つらい」と表現されていきました。
現代の感覚とのギャップ
現代の「つらい」は、
- 人間関係
- 仕事
- 精神疲労
など内面の問題が中心。
しかし語源的には「外から強い力が当たる」ことが出発点で、今でも
「心が押しつぶされるよう」
「胸がきつい」
「耐えられない重さ」
と表現されるのは、その名残です。
似た言葉・類義語・よくある誤解
類義語との違い
・「苦しい」
→ 呼吸・身体の痛みも含む。苦痛全般。
・「悲しい」
→ 心の喪失感が中心。
・「しんどい」
→ 身体のだるさ・精神疲労。
・「つらい」
→ 心に“強い負荷”がかかり、耐えにくい状態。
「つらい」は心の圧力に近い感覚です。
誤用されがちなケース
“悲しい”と“つらい”は混同されがちですが、語源的には
- 悲しい=失うことが中心
- つらい=重さ・圧力が中心
という違いがあります。
語源エピソードを“たね”にした比喩ストーリー
日常生活での比喩
「つらい」は、雪が吹きつける冬の向かい風のような言葉です。
つめたく、重く、息を奪う。
歩こうとしても前に進めず、心まで冷たくなる。
そんな“外からの強い圧”が心理に重なる感情です。
語源のイメージを広げる例え話
「つらし」から「つらい」に変化した流れは、高い山から吹き降ろす突風が、やがて人の心にも吹きつける“孤独の風”として表現されるようなものです。
自然の強さに人の弱さが重なり、そこに“つらい”という言葉が生まれました。
まとめ:つらいの語源を知ると何が変わる?
語源からわかる本質
「つらい」は“強く当たる(つ)”が原点で、心に圧力がかかる状態を表す日本語です。
悲しみとは別の、“耐えにくい重さ”が本質です。
読者への気づきメッセージ
つらさは弱さではなく、“強い力を受け止めている証”でもあります。
語源を知ることで、自分のつらさに対する見方が少しやわらぐかもしれません。

