「なんとなく不安だけれど、何が足りないのかはわからない」──そんな感覚を、日本語では「こころもとない」と言います。
「こころもとない」は、不安や頼りなさを感じる場面で使われる言葉です。
語源は古語の「心許なし」で、“心を預けられる足場がない”状態を表していました。
強い恐怖ではなく、支えが見えない不確かさが、この言葉の本質です。
本記事では、「こころもとない」の語源と意味をひもとき、日本語が捉えてきた不安の感覚を探ります。
「こころもとない」の意味をひと言でいうと?
「こころもとない」とは、頼りにしていた支えや見通しがなく、心が落ち着く場所を失った状態を表す言葉です。
怖いほど強い不安ではない。
しかし、安心できるほど確かでもない。
宙に浮いたような不確かさが、この言葉の核です。
日常での使われ方
- この説明だけでは、少しこころもとない
- 一人で行くのはこころもとない
- 将来のことを考えると、こころもとない
対象は
- 情報
- 人
- 状況
- 見通し
など、「拠りどころ」になるはずのものです。
「こころもとない」の語源・由来(まずは結論)
語源の結論まとめ
「こころもとない」の語源は、古語の「心許なし(こころもとなし)」。
意味は
心を許せるだけの支えがない
つまり、
安心を預ける場所が見つからない状態でした。
元になった古語「心許なし」とは
「許(もと)」の意味
古語における「許(もと)」は、
- 近く
- 足元
- 身のそば
を表す言葉です。
「心許」とは、
心を置いてよい“足場”のこと。
それが「ない」状態が、
「こころもとない」でした。
なぜ「こころもとない」は“不安”の言葉になるのか
不安は“欠如”から生まれる
この言葉が示すのは、
- 危険が迫っている
- 恐怖がある
ではなく、
「支えが見えない」ことそのものです。
これは
➡ 「こわい」の語源(強い揺さぶり)
➡ 「つらい」の語源(強い負荷)
より、ずっと静かな不安です。
「こころもとない」と似た感情の違い
- くやしい
→ 出口を失った感情 - せつない
→ 切れきれない心 - こころもとない
→ 足場を失った心
向いている方向が、
それぞれ異なります。
「こころもとない」に隠れる文化的ストーリー
日本語は“確かさ”を重んじる
日本語には、
- 手応え
- 見通し
- 段取り
といった 確かさの感覚が重視されます。
「こころもとない」は、
それが欠けたときに生まれる感情を、
とても静かに言語化した言葉です。
似た言葉・類義語との違い
- 不安だ
→ 直接的・現代的 - 頼りない
→ 他者評価に近い - こころもとない
→ 自分の内側の感覚
だからこそ、
説明文や独白によく使われます。
語源エピソードを“たね”にした比喩ストーリー
日常生活での比喩
「こころもとない」は、
夜道で、街灯と街灯のあいだを歩く瞬間に似ています。
暗すぎない。
でも、安心しきれない。
イメージを広げる例え話
もし「こころもとない」が風景なら、
それは 霧の朝の橋です。
橋はある。
でも、向こう岸が見えない。
まとめ:こころもとないの語源を知ると何が変わる?
語源からわかる本質
「こころもとない」は
“心を置く足場が見えない”という感覚から生まれ、
不安を静かに表す言葉でした。
読者への気づきメッセージ
不安は、
恐怖だけではありません。
支えが見えないとき、
人は「こころもとない」と感じるのです。

