「いたい」は、身体語として最も原始的でありながら、心理語として最も深く使われる言葉です。
語源は古語の 「いた(痛)む」=身体がきしむ・傷む。
その原義は、“刺激に耐えられず、体が悲鳴を上げる状態” でした。
そこから「痛い」は
- 身体の痛み
- 心の痛み
- 比喩的な痛み(痛々しい など)
へと広がり、人間の感情と身体の結びつきを象徴する日本語になっていきます。
本記事では、「いたい」の語源を古語から深掘りし、感情語へ広がるプロセス、文化背景、比喩の系統まで丁寧に解説します。
▼まず読まれている関連記事
➡「くるしい」の語源
➡「つらい」の語源
➡「こわい」の語源
「いたい」の意味をひと言でいうと?
現代の意味の要点
「いたい」は
“身体・心が傷つき、正常な状態を保てなくなる反応”
を示す言葉です。
3つの領域に分かれます
- 身体の痛み(物理的刺激)
- 心の痛み(感情的刺激)
- 客観的に痛々しい(比喩転用)
語源的には、
“身体のきしみ” がすべての出発点。
日常での使われ方
- 頭が痛い
- 心が痛む
- 胸が痛い
- 見ていて痛々しい
- 財布が痛い(比喩)
- 恋が痛い(メタファー)
身体語→心理語→比喩へ広がる典型的な日本語です。
「いたい」の語源・由来(結論)
語源の結論まとめ
語源は古語 「いたむ(痛む)」。
意味は
“身体が正常な強さを超える刺激を受け、傷む・きしむ”。
語源構造
【痛(いた)】
=“身体の内部にひびく刺激”を表す語根。
古代では、痛みは“魂の乱れ”とも考えられ、身体の痛みと心の痛みが分離されていなかった。
最初の用例
『万葉集』や『源氏物語』には“いたし”“痛(いた)む”が頻出し、
- 身体の痛み
- 心の苦悩
の両方に使われていた。
現代よりも“心の痛み”が多く描写されていた点が重要。
「いたい」はどう広がっていったのか
古語の用法
古語「いたし」は
- 強い
- ひどい
という意味も持ち、“痛みは強さの反動”という感覚が見られる。
意味の広がりのプロセス
- 身体が傷む(痛覚)
- 心が傷む(心理)
- 酷い・辛い(抽象化)
- 見ていられないほど痛々しい(比喩)
- 金銭・自尊心などの比喩的な痛み
身体語がもっとも自然に心理語へ広がる典型例。
「いたい」に隠れる文化的ストーリー
「痛み=悪」ではなかった
古代日本では、痛みは“身体が何かを守るサイン”とされ、単なる嫌悪ではなく “生きている証” とも捉えられていました。
神道では、
身体の痛み=“身の穢れや乱れ”
心の痛み=“魂のゆれ”
という概念があり、
身体と心は切り離せない存在だった。
現代での感覚との違い
現代では
- 痛み=避けるべきもの
ですが、語源に沿えば
- 痛み=生命反応
- 痛み=心の叫び
という文化的理解が背景にある。
似た言葉・類義語・よくある誤解
類義語との違い
・「くるしい」
→ 圧迫感による苦しみ。
・「つらい」
→ 外部負荷による苦痛。
・「かゆい」
→ 刺激への反射。
・「いたい」
→ 直接的な“傷み”に由来する感情。
誤解されがちなケース
“痛い=痛覚”に限定されがちだが、語源は 身体と心の“きしみ” で、心理の痛みも同列の根です。
語源エピソードを“たね”にした比喩ストーリー
日常生活での比喩(オリジナル)
「いたい」は、薄い氷の上を歩いたとき、足元で“ミシッ”と鳴る感覚に似ています。
一瞬で全身に緊張が走り、心まで固くなる。
身体のきしみが心を震わせる、その交差点こそが“痛み”の正体です。
語源のイメージを広げる例え話
古語「いたむ」が心の痛みにも使われたのは、木の幹にひびが入り、その傷が年輪として残り続ける様子に似ています。
外側の痛みが内側の記憶になる。
“痛み”は、身体と心をつなぐ古い言葉でした。
まとめ:いたいの語源を知ると何が変わる?
語源からわかる本質
「いたい」は“身体のきしみ”=痛む に由来し、身体→心→比喩へと最も自然に広がった日本語。
読者への気づきメッセージ
痛みは、身体や心が限界を知らせるサイン。
語源を知ることで、“いたい”の奥にある自分の状態に気づけるかもしれません。

